COLUMN

2026.03.23

ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~

Microsoft Publisherの終了

written by 古川 恒郎

2024年9月からマイクロソフトがMicrosoft365やOfficeスイートで提供している製品でMicrosoft365 Business StandardやOffice Home&Businessなどビジネス向けの上位ライセンスに含まれるデスクトップアプリケーションにPublisherという簡易DTPツールが含まれていますが、このPublisherが2026年10月以降にサポートを終了するという発表がありました。

マイクロソフトによると2026年10月に入るとデスクトップ用のパッケージ版として販売されている買切り版のMicrosoft OfficeのHome&Businessなど以外のライセンスでインストールされたPublisherについてはソフトウェアの起動自体ができなくなり、Publisherで作成されたドキュメント(*.pub形式)は開くこともできなくなります。
※参考:Microsoft公式リリース「Microsoft Publisher は、2026 年 10 月以降はサポートされなくなります」

この情報を目にした当初は、自社製品の後方互換性に対して側から見ていると異様なほどこだわってきた会社だから製品を終了して起動もできなくするとは言っても*.pub形式のファイルを閲覧できるビューワーソフトを提供するかWordやPowerPointなどの他のOfficeソフトに読み込むためのコンバーター機能を追加するくらいの対処はしてくれるのだろうと考えていました。

ところが、今年に入ってそろそろサポート終了まで半年という時期になってその後の対応をあらためて調べてみたところ、リリース発表当初のままで何の変化もなく今までに蓄積されてきたPublisherファイルの資産に対する救済策に関する言及は見当たりませんでした。過去のファイル資産の救済・再利用に関する情報としては先に引用した公式リリースのページ内に以下のような記載があります。

「2026年10月より前に準備する方法」
推奨されるアクション: 2026 年 10 月 1 日より前に、既存のファイルを別の形式に変換します。 この日付を過ぎると、Microsoft Publisher でこれらのファイルを開いたり編集したりできなくなります。

しかし、具体的にどうするのかは「PDF形式に変換してPublisherの廃止後にコンテンツを表示する」とそっけなく書かれているだけでした。詰まるところ、「コンバーターや他のソフトにインポートするためのフィルター機能はもちろん閲覧用のビューワーも提供しないので、サポート終了後にファイルの中身を見たいのであればPDFに変換しておいてね。PDFにしておけばWindowsに標準でついてくるEdgeで見ることができるし、編集その他再利用が必要だったらWordやPowerPointなどで開けるので何とかなるでしょう(レイアウトがどうなるかはわからないけど)。*.pub形式のファイルが大量にあるなら、一括でPDFに変換できるPowerShellのスクリプトをサンプルで置いておくから好きに使ってね。」
と対処方法についての情報は提供するのであとは利用者側の自助努力に一任という結論のようです。

もともとビジネスユーザー向けのライセンスに限定された製品で、自分のPCにインストールされていてもソフト自体の認知度が低く、Publisherで行う簡易DTP的な文書はDTPの視点で見るとかなり無理やりなやり方で作成したWordやPowerPoint文書、神Excelと揶揄されるようなExcelシートで対処していて、DTP目線のクオリティで文書作成をするのであれば素直にAdobe InDesignを使用するのが一般的ということなのでしょう。

実際のところ、Publisherのサポート終了が発表されて以降にSNSその他インターネット上での抗議活動や存続を訴える署名活動、代替ソフトの開発アナウンスなど、広く使われているソフトやサービスで同様に製品終了に関する情報が発表された際に起きがちな反応は目にしたことがありません。メジャーな製品の一部として長く提供されてはきたが、結局あまり利用されていなかったということで、今後の開発サポートを続けていく価値をマイクロソフトが見出すことができなかったことが今回のサポート終了となり、その実情に応じて世間的にこれといったレスポンスが発生していないのでしょう。

しかし、個人的にはエンドユーザー向けのテクニカルな内容の手順書や案内といった数ページ規模でスクリーンショットと作業手順のテキストを配置するタイプの文書を、Publisherが使用可能な環境であればPublisherで作業する機会が多くありました。対象となる文書が現在も有効なOSやアプリケーションであるものに絞ってもかなりの数のファイルがあるため、今年の10月までにこれらについて対処しておかないと開けなくなり、どうしたものかと調べた結果がこれまでに記した内容となったわけです。

作成目的が手順書や案内で他の誰かに提供するためのもので、提供先の環境でPublisherがインストールされている保証はないため、提供の際にはPDFに変換して渡すのが基本で、これから慌てて対処が必要なファイルを探してPDF化する追加作業はほぼ必要ないはずですが、念のためマイクロソフトが提供しているPowerShellのスクリプトに基づいてPublisherファイルの対処はしておことうと考えています。

2026年3月


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