COLUMN

2024.09.09 中小企業経営世代交代とリーダーシップITリテラシー

中小企業のIT投資は社長が仕切れ!

社長の世代交代は実年齢で判断?情報リテラシーで判断?

written by 永井 昭弘

先日あるドラマを見ていたらこんなシーンがありました。ある会社の会長が久しぶりに会社に出向き、社長と面談します。

そこで会長が社長に言い放ちます

「君はいくつになった?もうすぐ70歳になるのか!それなら社長をA君に譲りなさい。私が君を社長にしたのは私が70歳の時で同じだ。君は会長でどうだ。私は名誉会長になるから」

いまは多少減っては来ましたが、日本の企業では社長→会長→名誉会長→相談役→最高顧問といったように社長退任後に大仰な肩書で会社に残ることは珍しくありません。ただの相談役ではなく、取締役相談役や取締役最高顧問なんて方もいるそうです。企業だけでなく団体などでも同じです。「人生いろいろ、会社もいろいろ」と昔の総理大臣がおっしゃっていましたが、確かに会社は千差万別。他社のお偉いさんの肩書を揶揄することは、その会社に関係のない人がすることではないでしょう。高齢化社会は今後ますます進むので、お歳を召されても経営者としての実力や判断力が優れているなら活躍の場があってよいと思います。

しかし、筆者が実際に見たり聞いたりした範囲では失礼ながら老害がは少なからずあるようです。大きな弊害の一つがメールやチャットツールなどの今の企業内コミュニケーションツールの標準的なものが使えないことです。何かお伝えや、相談する際には対面での面談、電話、手紙をお希望されます。ご希望というよりは命令に近いかもしれません。メールアドレスは持っていても自分で読んだり打ったりできず秘書を要する。オンライン会議は大嫌い。チャットツールやSNSのメッセンジャーでのコミュニケーションなどはその存在さえ知らない、といった方々も少なくありません。

大そうな肩書が単なる名誉職なら会社の経営には差し支えないでしょう。しかし、取締役であれば社内外からタイムリーに情報を取得し、迅速で適切な経営判断が求められます。メールは苦手、オンライン会議は嫌いで今の時代の会社経営ができるでしょうか?これは実年齢の問題ではありません。筆者が親しくさせていただいている先輩経営者には70代どころか80代になってもメールの返信は早く、オンライン会議のリテラシーも若い人に負けない方は大勢いらっしゃいます。一方で、50代後半から60代前半でもすでに今時のコミュニケーションツールについていけない方々もいます。

何歳になったから会長、次は名誉会長といったように実年齢で決めるのではなく、メールを読むのがつらくなってきた、SNSはなんだかわからない、電子マネーは使えないといった、情報リテラシーが衰えたことを自覚したならば、潔く後進に道を譲るべきでしょう。どうしても何かの肩書が欲しいなら取締役から外れて、無給か薄給の顧問や相談役でどうでしょうか。どんなに昔は会社の発展に貢献したとしても、今ボトルネックになってしまったなら、自分で自分の過去の栄光を傷つけることになります。

2024年9月


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