前回(2025/5/15)に引続き個別のAWSサービスについて掘り下げていきます。
五つ目のテーマは「ELB」です。
概要
ELB(Elastic Load Balancer)は、AWSが提供するロードバランサーサービスです。
ロードバランサーとはAWSの根幹理念である、高可用性や高冗長性を担保するうえで重要な仕組みであり、かつ運用の自動化を進める際にも重要な役割を担っています。
特徴
◎ 障害の回避
サーバーを運用すると様々な要因でサーバーが正しくリクエストを処理できなくなる場合があります。これはハードウェア/ソフトウェアそれぞれの起因で起こるものです。ELBはサーバーにこのような障害が発生した場合、そのサーバーへリクエストを遮断しサービスが止まらないように動きます。
◎ 負荷分散によるパフォーマンスの向上
サービスのパフォーマンスはサーバーの処理能力に大きく依存しますが、パフォーマンスを上げるにはサーバーの能力を増やす(スケールアップ)、もしくはサーバーを増やす(スケールアウト)を行います。ELBではこのスケールアウトで複数のサーバーが運用されている時に、これらのサーバーを管理しリクエストを分散することで各サーバーの不可を減らし、高いパフォーマンスを維持します。
◎ スケーラビリティの実現
AWSが提供するELBの大きな特徴として、ELBがリクエストを飛ばすサーバーの管理を行い、障害のあるサーバーを再構築したり、リクエストの量や時間帯によってサーバーを自動的に増減するというものがあります。これは運用の自動化やサービスのパフォーマンス・信頼性を維持するうえで重要な機能です。
利用方法
ELBを利用する際は、管理したいサーバーサービスと合わせて利用します。EC2やECSといったAWSが提供するサーバーサービスと連携して利用します。ELBを運用するネットワークを設定(VPC、サブネット)し、ELBに管理させるターゲットとなるサーバーを設定します。また外部システムがリクエストを飛ばす際は、ELBをターゲットにリクエストを飛ばせるように、ELBの宛先を設定することで簡単に設定が完了します。
利用料金
ELBの料金は従量課金制です。運用の時間と実際に行われたリクエストの数それぞれに料金がかかります。運用している地域(リージョン)によって料金は変わりますが、東京の場合(2025年7月時点)だと以下の料金となり、小規模なプロジェクトなら月間3000~5000程度で運用が可能となります。
時間料金:1時間当たり$0.025
通信料金:1LCU当たり$0.008
※1LCUはリクエスト内容によって変わりますが、25000/分リクエストが目安です
最後に
Webサービスを提供するうえでELBの導入はサービスの質及び運用の簡素化・自動化においても大きな役割を果たします。また従来のロードバランサーと違い機器を入れる必要もなく、簡単に作成・削除ができるので検証などもやりやすく、導入コストも抑えることができます。
2025年7月