Windowsサーバー機能のDFS機能をご存じだろうか。分散ファイルシステムの略で、要するにファイルの冗長化機能のことである。Windowsサーバー機能というと、オンプレミスに置くようで時代遅れのような感覚もあるが、容量に対するコストやディスクのスペックの問題もあり、まだまだ現役である。また、このDFSはクラウドのWindowsサーバーでも活用できる。
まずDFSの説明だが、DFSは大まかに2種類ある。ドメイン型とスタンドアロン型だ。ドメイン型はドメインのルートに共有フォルダ名が紐づくのが特徴だ。
¥¥Domain.com¥共有フォルダ
対しスタンドアロン型は従来通り、サーバー名に共有フォルダが紐づく。
¥¥Server01¥共有フォルダ
一見スタンドアロン型のほうが使いやすそうだが、リプレース等でサーバー名が変わってしまった時にユーザーはパスの変更をする必要があるので、実はドメイン型のほうが使いやすい。他にもこのような違いがある。
〇ドメイン型
サーバー名に紐づいていないので、ホストサーバーがダウンしてもメンバーサーバーが生きていれば、ユーザーは何も感じることなく継続して共有フォルダを使用できる。
〇スタンドアロン型
サーバー名を指定しているので、ホストサーバーがダウンしてしまうとメンバーサーバーが生きていても、ユーザーは共有フォルダを使用できない。(ファイル自体は冗長化されているので、サブサーバーに存在しており、データは保持される)
しかし、ドメイン型にするにはいくつかハードルがある。ドメインルートに「Netlogon」や「SYSVOL」フォルダ、いわゆるドメインコントローラー関連のフォルダがあり、それがユーザーに見えてしまうからである。このフォルダにはグループポリシーやログオンスクリプトなどの情報が含まれており、ユーザーには少なくとも閲覧する権限を付けなければならない。場合によってはファイルの作成権、編集権を付ける必要がある。とすると、誤削除等のリスクが付きまとう。また、ドメインルートに変更するには、ユーザーの使用しているパスをすべて変える必要がある。ショートカット等だけであれば比較的容易であるが、アプリに仕込まれているパスを変更するのは骨が折れる。
これらのハードルをクリアできればドメイン型のDFSを使用するのが一番であるが、現実的には難しい。となると、スタンドアロン型で我慢する選択になるが、やはりホストサーバーがダウンした際に使えなくなるということは、冗長化として目的を達成できないといえよう。そこで、もしスタンドアロン型を選択せざるを得ない場合は、フェイルオーバークラスタリング機能と組み合わせるのがよい。
フェイルオーバークラスタリングは、サーバーがダウンすると自動的に別のサーバーに切り替える機能である。ただし、ファイル冗長化については弱いのでDFSと組み合わせた方が使いやすい。DFSをスタンドアロン型にしておいて、メンバーサーバーをフェイルオーバークラスタリング設定にしておく。そうすればホストサーバーがダウンしても自動的にメンバーサーバーに切り替わる構成にできる。
そもそも、フェイルオーバークラスタリングのファイル共有機能でやればよいかもしれないが、既にある共有フォルダを移行したりする必要があるので、新規サーバー設置時以外はDFSをお勧めしたい。冗長化に限らず、Windows Serverには標準で様々な機能が付いているので、是非活用していただきたい。
2025年8月