COLUMN

2025.09.01

ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~

バッテリー内蔵型機器について再び

written by 古川 恒郎

昨年11月に「バッテリー内蔵型機器について考えてみた」というタイトルで、最近のバッテリーを使用する機器のほとんどは機器の内部に埋め込まれていて、利用者が気軽に交換できない構造のものばりということが面白くないといった趣旨のコラムを書きましたが、今回もまた内蔵型バッテリーについての話題です。

以前からモバイルバッテリーやスマートフォン、ハンディファン等々、リチウムイオンバッテリーを内蔵した機器が発火した事例や自治体が回収したゴミの中にバッテリーが紛れ込んでいて走行中の清掃車が燃え出したというニュースや、ゴミ焼却施設内で発火して施設が焼損してしまったなど、リチウムイオンバッテリーに起因する事故のニュースを目にすることがありましたが、この数年感でその頻度が増えて連日ニュースになっています。

日常的に当たり前に使用されるようになるにつれ、粗悪な製品が増えている可能性も考えられます。利用者側も下記ような危険物の一種を扱っているのだということが意識されていないことも一因でしょう。
・ぞんざいに扱って強い衝撃を与えてしまう
・高温環境で長時間使用を続ける
・一般ゴミと一緒に廃棄してはいけない

使う側としては、粗悪な製品の購入を避けてぞんざいに取り扱わないという意識が必要ですが、こういった製品類を長く使っていれば必ず故障や買い替えなどで使わなくなり、その後の取り扱いを考える時がきます。製品が不要になればそのまま保管するか廃棄するかのどちらかが一般的な処理方法ですが、今のところリチウムイオンバッテリーが内蔵された製品を気軽に廃棄物として通常のゴミとしてゴミ回収ルートにのせることはほとんどの自治体が対応していません。また自社製品の回収に対応しているメーカーもあまり目にしません

パソコンについては、以前にも書いたことがありますが、メーカーや業界団体でリサイクル体制を用意しています。こういった製品についてもメーカー側による自主回収・リサイクルが望ましいとされています。ではこれらについてどうするか、一般的な認知が広まっているとは思えないものの、携帯電話やデジタルカメラ、スマートフォン等々リチウムイオンバッテリー内蔵の携帯型の小型機器を主なターゲットにした小型家電回収ボックスという制度があります。具体的な運用はそれぞれの自治体に丸投げされていて、たまたま自分の居住地では役所と関連施設のいくつかに回収ボックスを設置しているので、そこにもっていけば処理できますが、自治体によっては域内の家電量販店に委託するなど対応は自治体ごとで異なるので、役所への確認が必要となります。

こうった製品の買い取り業者が身近にあればそこに持ち込んで引き取ってもらうという方法もありますが、汚れや破損で再販売が難しそうなものは買い取りを拒否される場合もあるので、やはり居住自治体の制度を確認しておいた方がいでしょう。さすがに国でも現状のままではよろしくないとなったのか、ようやくモバイルバッテリーやスマートフォンの回収・リサイクルをメーカー側に義務付ける方針になったというニュース(※)を目にしました。

とりあえずモバイルバッテリー、スマートフォン、加熱式タバコ機器の三種類に絞った制度のようですが、これらの製品で整えた体制をモデルとして他の品目も追加されていくのでしょう。こういった制度が利用可能にるまでは居住自治体の指定する方法で処分するのが現実的な対処方法のようです。

2025年9月

(※参考記事)
モバイルバッテリーやスマホ、回収・リサイクル義務化 26年度から(日本経済新聞)
経産省、モバイルバッテリやスマホの回収/リサイクルを義務化(PC Watch)


古川恒郎のコラム>>>
2024年10月以前のコラムはこちら>>>

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