COLUMN

2025.10.21

ITコンサルタントの日常

AIパソコンを触ってみました

written by 小早川 豊

昨今、各社は「AIパソコン」と銘打ったパソコンを販売している。

AIパソコンとは、要するにCPUに加え、AIに特化したNPU(Neural Processing Unit)が搭載されたパソコンということである。もちろん、メモリ性能などに推奨はあるが、一番おおきな要素はNPUがあることに尽きる。このNPUがついていると、ローカルアプリのAI機能が高速実行できる(Chat GPTなどWEB上のAIサービスにNPUは使われないので注意が必要である。これらはGPUを使う)。また、普通のパソコンでは使えない「Recall」などの新機能を使用できる(これらの新機能はまだ制約が多く、業務活用はまだ難しい)。

実際にこのAIパソコンを使う機会があったので、使用感を肌感覚でお伝えしたい。まず、最初に感じたのは起動や操作挙動など、全てにおいて素早く感じられたことである。今回使用したのはSnapdragon X Elite、つまりはARM版だが一世代前のパソコンに比べ、もっさり感がない。さすがはSnapdragonの最上位だけのことはある。これはNPUに特質ではないだろうが、これも欲しくなる要素であった。もっとも、顔認証等ではNPUが使われているので、まったく使っていないわけではないのだが。

次にローカルのAIアプリの挙動だ。先述のとおり、ChatGPTなどのWEBサービスにNPUは使われないが、CopilotなどローカルのAIアプリには使える。M365 CopilotでGPT-5を用いて検索してみたところ、速度は3倍以上早く感じられた。通常のパソコンの場合、GPT-5でチャットすると4.5と比べても遅く感じられるが、AIパソコンではストレスなく回答が返ってきた。これはうれしい。複数回チャットで壁打ちした場合、その差は歴然である。どうやら通常のパソコンの場合、処理はクラウドで行っているようで、ネットワークの制約が生まれる。AIパソコンの場合、ローカルでNPUが処理するため、非常に高速となる。

次に利点を感じたのはTeams字幕である。これが早い。通常、字幕が出るのに一瞬遅れるが、ほぼリアルタイムで表示された。

最後にRecall機能の所感を紹介する。このRecallはパソコンの作業履歴をすべて保存し、後から再確認できるツールである。ただ、検証したのが1日程度なので、履歴はそれほどなく、あまり必要性を感じなかった。これは少なくても数か月使わなければ有用性を肌で感じないだろう。また、ドメイン参加またはEntra ID参加・登録のパソコンはこの機能が無効になり、どうやっても有効にできなかったので、業務利用としてはまだまだ未知数である。寄って業務利用としては先の話となるだろう。

総評として、企業にとってもAIパソコンは買いである。通常のパソコンと比べ、少し値段が張る場合が多いが、AIの速度向上はそれ以上に大きい。ローカルAI処理するため、データが外に出ず、セキュリティも安心である。

今回試したのはSnapdragonのAIパソコンだが、NPUはintel版もある。ぜひパソコン購入計画に入れていただければと思う。

2025年10月


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