皆さんの中に、ノーコード、ローコード、パッケージ製品等のシステム導入プロジェクトに携わる機会がある方もいらっしゃると思います。今回はその中でもSaaS(Software as a Service)導入時に、ユーザ・ベンダ双方が気を付けるべきポイントについて記載します。

ユーザが基幹システムを調達する際は、要求事項をベンダに提示し、それに対する提案書を受領したうえで、提示した要求事項をどの程度満たしているかを文面ベースで評価し、自社業務に適合しているかを判断することが一般的です。実際には、その適合率を重視しながら製品選定を進めることになります。もちろん、コストやスケジュールなどの他の要因によって判断が変わることもあります。
ただし、提案書上の適合率はあくまで文面ベースの評価です。そのため、実際にシステムを導入する際には、記載通りの適合度合なのかをFit & Gapの観点で確認する必要があります。このFit & Gapは、ユーザ・ベンダ双方にとって非常に重要なポイントです。ここを怠ると、後工程であるユーザテストの段階で問題が顕在化しやすくなります。そうした事態を防ぐためにも、双方が注意しながらプロジェクトを進めなければなりません。
まずユーザ側としては、本業が忙しいことは十分承知のうえですが、導入予定のSaaSを実際に操作し、自社業務をこのシステムでどのように行うのかをFit & Gapの段階でしっかり確認します。ここでどれだけ課題を抽出できるかがポイントになります。この段階で確認を怠ると、後になって「提案書にはできると書いてあったのに、実際にはできない」といったGapが生じ、問題に繋がりかねません。実際に業務を行う担当者に確認してもらい、課題の洗い出しを進めることが重要です。
一方ベンダ側としては、単にユーザに操作確認の期間を設けるだけでなく、ユーザの反応や確認状況を把握し、その結果として本当に問題なのかを見極める必要があります。課題が上がってこないからといって、「問題なし」と判断して進めるのは危険です。ユーザが日常業務に追われ、十分に確認できていないだけかもしれません。ベンダはユーザ業務を理解したうえで、「この機能は業務に合わないのではないか」「この点は懸念があるのではないか」といった観点から、ベンダ側からも積極的に確認しておくことが重要となります。
Fit & Gapの工程で、ユーザ・ベンダ双方が有意義なやり取りを行うことで、後工程で発生する問題をできる限り減らすことができるのではないでしょうか。SaaS導入プロジェクトを進める際には、ぜひこの点に注意していただければと思います。
2026年4月