COLUMN

2025.04.01

失敗しないシステム導入

ディスカッションペーパーを作成する際のポイントとは?

written by 石井 健作

システム開発プロジェクトにおいて要件や仕様を議論する際に空中戦を避けるために議論のたたき台となる資料を作成することがあります。これをディスカッションペーパーと呼びます。今回のコラムではディスカッションペーパーを作成する際のポイントをご紹介します。

① 対象範囲を明確にする

議論で重要なのは対象範囲です。システムAとBの両方のことを言っているのか、システムAのことだけを言っているのか。議論が噛み合わない場合は、各人の議論の前提となる対象範囲がずれている場合が多いです。同じプロジェクトに所属していれば、議論の対象範囲は暗黙のうちに共有できていると思いがちですが、思いの外人によって前提としている対象範囲は異なります。しつこいくらいに都度、対象範囲を明示して確認しましょう。また、対象範囲だけでなく、対象外も明示することも重要です。これにより対象範囲がより明確になります。

② 表現を簡潔にする

自分の頭の中の思考を全て文章にしたような長文のディスカッションペーパーを目にすることがありますが、このようなディスカッションペーパーでは議論の参加者が文章を読み解き理解するまでに時間が掛かり、議論に十分な時間が費やせないといったことが起こり得ます。ディスカッションペーパーは論点を簡潔に表現することを心掛けましょう。図も使いつつ、議論の参加者が論点を短時間で理解できるようにします。補足の説明が必要な場合は、添付資料としてまとめるようにして、ディスカッションペーパー本体は簡潔にします。もし、論点を簡潔に表現できないのであれば、解決すべき問題が整理されておらず、複雑なままになっていることが想定されます。問題を分割したり、因果関係を整理したりして問題点を簡潔に表現できるようにします。

③ 実際に業務で利用されている用語を使う

社外のメンバー(ベンダーやコンサルタントなど)が一般的な用語でディスカッションペーパーを作成したが、実際の業務で利用されていない用語だったため、社内メンバーの理解が不十分で議論が抽象的なまま終わってしまうことがあります。また、過去の経緯などから業務で利用されている用語が一般的な意味とは異なって使われていることもあります。このようなことを避けるためにもディスカッションペーパーでは実際に業務で利用されている用語を使いましょう。また、その用語がどのような意味で使われているかを正確に理解しておく必要があります。

これらのポイントに気を付けることで効率的に議論を進められるディスカッションペーパーを作成することができます。

2025年4月


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