SD-WANという言葉をご存じだろうか。
従来のWANはハードウェアで構成・制御されているが、これをソフトウェアで制御するというものだ。具体的には複数の拠点のネットワーク機器を一つのクラウドで制御する。
この言葉自体は単純に知っていれば問題ない。
しかし、ネットワークベンダーによって狭義の「SD-WAN」が使われることがある。ネットワーク機器に機器名に「SD-WAN機能」と定義されているのだ。これはあくまでそのネットワーク機器固有の機能である。
この「SD-WAN機能」をうまく伝えることができず、時間を浪費した経験がある。以下がそのやり取りだ。
筆者「このA社の○○製品にSD-WAN機能の「△△データベース」があるが、ライセンスを買わないと使えない。いくらになるか概算でもいいので出して欲しい。」
—2週間後—
販社「A社SD-WANライセンスの価格を確認したが、とても高額になりそうだ。」
筆者「高額とは10万、20万では済まないということだろうか。」
販社「そうなる見込み」
お分かりいただけただろうか。筆者はここで認識の齟齬に気づいた。
要するに、販社は○○製品のSD-WAN機能のライセンス価格を調べたのではなく、A社が持つSD-WANシステムの価格を調査したのである。欲しいのはひとつの製品のSD-WAN機能の情報であったのに、複数の拠点のネットワークを統合管理するシステムを調査してしまったというわけだ。
この認識の齟齬により、筆者・販社ともに時間の浪費が発生した。もっと「この製品のSD-WAN機能だけが欲しい」と強調すべきであった。実際、機能だけの概算であれば数時間で分かったことだった。
SD-WANという言葉はバズワードであるが、クラウド等の他のバズワードと異なるのは、意味が多少具体的で、わかっていればイメージしやすい。同じバズワードでコミュニケーションには異なった注意が必要であると確認した次第である。
2025年6月