COLUMN

2026.06.03

失敗しないシステム導入

PMOコンサルタントの2つのパターンとは?

written by 石井 健作

システム開発の発注側にPMO(Project Management Office)として参画するITコンサルタントには、大きく分けて2つのパターンがあります。企画や調達、要件定義といった「上流」に強いPMOと、設計、開発、テストなどの「下流」に強いPMOです。便宜的に前者を「上流PMO」、後者を「下流PMO」と呼ぶことにします。今回のコラムでは、両者の特徴や違いについて説明します。

○出自(バックグラウンド)
最初に両者の「出自(バックグラウンド)」を比べてみましょう。上流PMOは、戦略コンサルティングファームや事業会社の企画部門などからITコンサルタントへ転職してきたケースが目立ちます。一方で下流PMOは、Sierやソフトハウス、あるいは事業会社の情報システム子会社などの出身者が多い傾向にあります。このように、同じ「ITコンサルタント」という肩書であっても、歩んできたキャリアによって得意分野は大きく異なります。

なお、昨今のIT業界における深刻な人手不足により、IT未経験の他業界からの転職者が、十分な社内教育やOJTもないまま現場に「ITコンサルタント」として投入されている事例が散見されます。発注側としては、会社のネームバリューや肩書に惑わされずにコンサルタントの力量を見極める力が必要です。

○得意分野
次に両者の「得意分野」を比較してみましょう。上流PMOは、システム化の要否の判断や、複雑な業務要件の整理など「Why(なぜ作るのか)」や「What(何を作るのか)」の視点での検討を得意とします。一方で下流PMOは、設計レビュやテスト項目の精査など、「How(どう実現するか)」の視点での品質管理に強みを発揮します。裏を返せば、上流PMOは技術的な具体論(How)に弱く、下流PMOはそもそも論(Why・What)の議論を苦手とする場合があるのも事実です。

こうした特性の違いから、それぞれが活躍できる局面、プロジェクトも異なります。上流PMOは、業務要件が複雑に入り組んでいたり、複数の業務部門が絡んで利害調整が必要だったりするプロジェクトで真価を発揮します。一方で下流PMOは開発ベンダーの技術力や経験にやや不安があり発注側として厳密な進歩・品質管理が求められるプロジェクトにおいて活躍できます。

もちろん、上流のスキルと下流のスキルを併せ持ったITコンサルタントをPMOとしてアサインできたり、上流PMOと下流PMOをそれぞれアサインできたりすれば、それに越したことはありません。しかし不足が叫ばれる現状では、なかなかそうはいきません。自社のプロジェクトの特性を見極めたうえで、上流PMOか下流PMOのどちらかを「適材適所」でアサインするのが現実解であり、プロジェクト成功の鍵となります。

2026年6月


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