COLUMN

2026.08.19

失敗しないシステム導入

生成AIで作成された質の低いRFPの問題点とは?

written by 石井 健作

RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を作成する際に、生成AIを活用する企業が増えてきました。生成AIを正しく活用できれば、要求の抜け漏れを防ぎ、これまでより少ない工数と短い期間でRFPを作成できます。
しかし一方で、生成AIの使い方を誤り、「実用に耐えない質の低いRFP」が量産されているという問題も起きています。今回のコラムでは、生成AIで作成された質の低いRFPが抱える3つの問題点とそのリスクについて解説します。

問題点①:不要な要求事項が放置される
生成AIは、学習データ内の標準的なテンプレートを元に文章を生成するため、当該プロジェクトにとっては不要な要求まで網羅的に出力してしまいます。AIは「自社にとって本当に必要な要求か」を自主的に判断できません。
人間による精査を経ずに作られたRFPは、単にベンダー側のRFPを読む手間を増やすだけではなく、ベンダー側に「発注側が自社の要求を整理できていないのでは?」という警戒感を抱かせます。その結果、経験豊富なベンダーほどリスクを避けて提案を辞退したり、リスクを乗せた高額な提示をしてきたりする原因となります。

問題点②:文章は整っているが要求が曖昧
プロンプトの指示が抽象的だと、生成AIは「セキュリティに配慮した設計」のような、一見それっぽいものの具体性のない一般的な文章を繕ってきます。
要求が曖昧なRFPを受け取ったベンダーとしては、「前提条件をつけて限定した範囲で提案する」か、「要求拡大のリスクを見越してバッファを積んだ高額な見積を出す」かになります。これでは各社の提案を横並びに比較することができず、適切なベンダー選定や適性価格での発注が難しくなります。

問題点③:背景(Why)がなく、要求(What)しか書かれていない
生成AIは過去のRFPデータから要求(What)をドラフトするのは得意ですが、「なぜその要求が必要なのか」という自社固有の経営課題や背景(Why)までを推測することはできません。人間が意図的にインプットしない限り、Whyが欠落したRFPになってしまいます。
RFPに背景(Why)が書かれていれば、ベンダーは「その目的達成なら、より安価で優れた別の方法があります」といった代替案を提示できます。しかし、WhyがなくWhatだけだとベンダーは書かれた通りの要求に従うしかなく、結果として割高で硬直化した提案になりがちです。

生成AIは非常に強力ですが、RFP作成においてはあくまで「要求の整理や清書を助けるツール」に過ぎません。自社の状況に合わせた項目の取捨選択、具体的な要求、「なぜそれを行うのか」という自社の背景を人間が定義し、適切なインプットとして与えること。これがあって初めて品質の高いRFPを作成することができます。

2026年8月


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